ファーマフーズ(2929)は6月4日に決算発表が行われました。
内容は良いものでPTSでも株価が上昇しており、週明けの株価上昇が期待できる銘柄の一つです。
ファーマフーズの今回の決算内容や今後の値動きについてみていきましょう。
【好決算の注目銘柄】 2929 ファーマフーズ 広告宣伝費増でも大きく業績を伸ばす
【ファーマフーズの概要】
- 時価総額:942億円
- 設立:1997年
- 上場:2006年6月
- 売上高:153.5億円(20.7)/ 410億円(21.7予)
- 営業利益:7.4億円(20.7) / 22.5億円(21.7予)
卵黄由来のサプリや化粧品通販が主力。機能性食品素材ギャバ等は内外の食品メーカーへ販売。
まずは今回発表されたの決算内容を見てみましょう。
2021年6月4日の第3四半期決算内容
売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 利益率 | 1株益 | |
20.8~4(実績) 今回発表 | 33,748百万円 | 2,633百万円 | 2,716百万円 | 7.8% | 53.49円 |
21.7(四季報予想) | 41,000百万円 | 2,250百万円 | 2,300百万円 | 5.5% | 51.6円 |
3Qの決算を見ると、利益は既に通期を超えており、好決算だと言えるでしょう。
【進捗率】
- 対通期:売上 82.3% 営業利益 117%
売上高も通期の予想を超えるペースで推移しており、営業利益は既に17%も上回っています。
今回、通期の上昇修正は行われておらず据え置きとなっておりますが、今後予想の修正もされるのではないでしょうか。
決算短信内での「連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」は下記となっています。
通期業績予想については、事業環境が引続き好調を維持しており、業績進捗ペースが予想を上回る可能性を有し
ているものの、現時点においては据え置いております。
第4四半期連結会計期間も、投資効率を踏まえ高水準の広告投資を行う計画でありますが、新型コロナウィルス
感染症の影響による広告単価の動向及び東京オリンピック開催に伴う広告枠の追加買付の有無を見極めたうえで、
通期業績予想を精査し、速やかに開示いたします。
直近四半期の売上利益
直近四半期の伸び率は今後の業績が伸びていくかを見るうえで重要な指標です。
ファーマフーズの四半期ごとの売上・利益・利益率の推移は下記の通り。
売上高 | 営業利益 | 利益率 | |
21.2~4(第3四半期) | 13,355百万円(286.6%) | 2,714百万円(204.4%) | 20.3% |
20.11~1(第2四半期) | 12,006百万円 | 1,347百万円 | 11.2% |
20.8~10(第1四半期) | 8,387百万円 | -1,428百万円 | -17% |
20.5~7(前期 第4四半期) | 4,241百万円 | 997百万円 | 23.5% |
20.2~4(前期 第3四半期) | 4,660百万円 | 1,328百万円 | 28.5% |
19.11~1(前期 第2四半期) | 3,362百万円 | -801百万円 | -23.8% |
19.8~10(前期 第1四半期) | 3,090百万円 | -784百万円 | -25.4% |
19.5~7(前々期 第4四半期) | 2,664百万円 | 696百万円 | 26.1% |
直近四半期の数字を見ると、前年四半期、QoQともに大きく上昇していることがわかります。
売上・利益ともに前年四半期から倍以上の伸びを見せています。
当社グループでは、中長期での高成長や企業価値向上を目指して、極めて積極的
な事業投資を継続して実行しております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、広告宣伝費19,365百万円(前年同期は6,093百万円)、研究開発
費354百万円(前年同期は329百万円)の投資を行いました。
その結果、「ニューモⓇ
育毛剤」を中心に顧客獲得が進展し、2021年4月末時点の定期顧客件数は791,566件
(前年同期は226,922件)となりました。機能性素材の研究においては、頭皮フローラを整えるカクテル成分を
開発し、新製品への投入が決まるなど、商品開発力強化につながりました。創薬研究では、田辺三菱製薬株式会
社との抗体医薬に関する独占的ライセンス契約締結をきっかけに、当社の抗体作製技術への評価が高まりまし
た。
当第3四半期連結累計期間の売上高は、33,748百万円(前年同期は11,112百万円)となりました。育毛剤及び
化粧品の販売がけん引し、当社グループ全体では前年同期比203.7%の大幅な増収を達成いたしました。
営業利益は2,633百万円(前年同期は257百万円の営業損失)となりました。通信販売事業におけるビジネスモ
デルは、高水準の広告宣伝投資を行いながらも、利益の創出ができる構造へと変化しております。その結果、当
第3四半期連結会計期間は、四半期の営業利益としては過去最高の2,714百万円を計上いたしました。
また、当第3四半期連結累計期間の経常利益は2,716百万円(前年同期は225百万円の経常損失)、親会社株主
に帰属する四半期純利益は1,553百万円(前年同期は194百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりま
した。
広告宣伝費や研究開発費は前年同期と比べて増えており、積極投資を行いながらも売上・利益が大きく伸びているのはかなり良い決算だと言えるでしょう。
ファーマフーズのセグメント別の売上利益
ファーマフーズのセグメントごとの売上利益も見てみましょう。
セグメント | 売上高 | 営業利益 | 利益率 |
バイオメディカル事業 | 350百万円(108.3%増) | 128百万円(前年同期は-14百万円) | 36.6% |
機能性素材事業 | 1,927百万円(1.5%増) | 494百万円(19.0%減) | 25.6% |
通信販売事業 | 31,469百万円(247.9%増) | 2,562百万円(前年同期-416百万円) | 8.1% |
<バイオメディカル事業>
バイオメディカル事業では、当社独自のニワトリ由来抗体作製技術「ALAgeneⓇ
technology(アラジンテクノ
ロジー)」及び卵黄由来の生理活性ペプチド開発技術を用いた創薬事業を行っております。
「ALAgeneⓇ
technology」は、従来技術では作製困難な創薬ターゲット分子に対する抗体作製を可能とする、
当社の基盤技術であります。本技術を用いて「自己免疫疾患」「悪性腫瘍」を対象疾患とした抗体医薬の研究開
発を行っております。
「自己免疫疾患プロジェクト」においては、2018年10月より2年間、田辺三菱製薬株式会社と抗体医薬に関す
る共同研究を推進してまいりました。本結果をもとに、当社と田辺三菱製薬株式会社は、2021年1月に独占的ラ
イセンス契約を締結いたしました。今後は、開発段階に応じた開発マイルストンの支払いを受けることとなり、
さらに、この抗体医薬品が5兆円にも及ぶ自己免疫疾患に対する抗体医薬市場へ上市された場合、全世界におけ
る販売額に応じたロイヤルティと販売マイルストンの支払いを受けることになります。
これに加え、自己免疫疾患に関しては、創薬研究所内に「国際PAD研究センター」を設け、一連のPAD※1
関連ターゲットに関する創薬研究を推進し、創薬のパイプライン拡充が順調に進みました。多様な抗体が作製可
能となる当社技術は、その有用性が高く評価されております。特に抗PAD2抗体については、ヒト化抗体作製
と薬効薬理試験を行っており、国内外の大手製薬企業と提携交渉を進めております。
「悪性腫瘍プロジェクト」においては、抗FSTL1抗体を用いた各種抗腫瘍試験を行うことで、製薬企業と
の提携交渉を継続しております。
また、当社では卵黄由来の生理活性ペプチド開発技術を用いて、骨形成に関与する治療薬の研究開発を行って
おります。
「骨形成プロジェクト」では、卵黄由来の骨形成ペプチド「リプロタイトⓇ
」が、国立研究開発法人日本医療
研究開発機構(AMED)「平成30年度 難治性疾患実用化研究事業」に、東京大学及び長崎大学との共同研究
事業として3年目の選定を受けており、研究開発を行っております。骨形成不全症の治療薬の候補として、「リ
プロタイトⓇ
」の作用機序の解明と、動物モデルでの薬効評価、薬物動態評価を行うことで、製薬企業との提携
交渉を継続してまいります。
また、バイオメディカル事業では、新たな創薬ターゲットに対する抗体作製に加え、外部企業からの分析・効
能評価試験等を受託するLSI(Life Science Information)事業を行っておりますが、新たな創薬ターゲット
の研究開発に注力するため、受託試験の受注を控えたことにより、受託試験が減少いたしました。
これらの結果、バイオメディカル事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は350百万円(前年同期比108.3%
増)、セグメント利益は128百万円(前年同期は14百万円のセグメント損失)となりました。<機能性素材事業>
機能性素材事業では、独自の機能性食品素材を研究、開発し、食品メーカー等に販売しております。
当事業が属する機能性表示食品及び健康食品市場は、健康維持、増進への高い意識を背景に、市場規模が拡大
しております。
当社の主力商品である「ファーマギャバⓇ
」の売上高は、909百万円(前年同期比5.2%減)となりました。機
能性表示食品制度における「GABA(ギャバ)」の届出件数は479件(2021年4月末時点)で、引続き第1位
の採用実績を維持しており、食品メーカーによるGABAの採用拡大が、トップシェアである当社の「ファーマ
ギャバⓇ
」の受注拡大につながっております。
OEM事業の売上高は、573百万円(前年同期比51.3%増)となりました。国内を中心にヘルスケア企業向け
ダイエット食品及びナショナルブランド向けパウチゼリー等が増加いたしました。
骨形成成分である「ボーンペップⓇ
」の売上高は、161百万円(前年同期比26.2%減)となりました。国内外の
食品メーカー等に、食品及びサプリメントの原料として配合されております。
海外を中心に成長中の美白素材「CerepronⓇ
(セレプロン)」の売上高は、38百万円(前年同期比
12.6%減)となりました。引続き、中国及び東南アジア地域での販売に注力してまいります。
研究開発では、頭皮の菌バランスに着目したカクテル成分を新たに開発いたしました。数十種類の頭皮環境向
け原料の中から、頭皮フローラを整える最適の配合比率を見つけ出すことに成功し、この成分を2021年2月に特
許出願いたしました。当社通信販売製品への採用が決まっており、研究開発の成果が迅速に商品開発へとつなが
る体制となっております。
また、2021年4月に独立行政法人国際協力機構(JICA)と「ベトナム国妊婦の栄養改善に資する葉酸たま
ごの販売促進にかかる基礎調査」に係る業務委託契約を締結し、同事業を開始いたしました。葉酸の認知程度及
び機能性食品に対するニーズや価値観を把握し、将来的には、アジアの大手食品総合企業グループをはじめとし
た現地商社と販売代理店契約を結び、海外売上の増加を目指してまいります。
以上の結果、機能性素材事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、1,927百万円(前年同期比1.5%増)、
セグメント利益は494百万円(前年同期比19.0%減)となりました。<通信販売事業>
通信販売事業では、「発明企業の通販事業」として当社独自の機能性素材を配合したサプリメント及び医薬部
外品(「タマゴ基地Ⓡ
」ブランド)並びに化粧品(「SOGNANDO(ソニャンドⓇ
)」ブランド等)の商品
を、通信販売の方式で消費者に直接販売又はショッピング専門チャンネルへの卸売販売を行っております。
当第3四半期連結累計期間においても、広告宣伝を上期に集中投資し、下期で利益回収する「通期黒字化モデ
ル」を継続いたしました。2021年4月末現在の定期顧客件数は、791,566件と高水準を維持しており、この基盤
がもたらすリピート購入により、「利益回収の早期化」及び「利益水準の上昇」が続いております。
その結果、当第3四半期連結会計期間では、四半期のセグメント売上高12,567百万円、セグメント利益2,798
百万円となりました。「ニューモⓇ
育毛剤」は、テレビ、WEB広告に加え、新聞広告など紙媒体においても顧客獲得に注力し、既
存顧客のリピート購入も増加した結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は、19,043百万円となりまし
た。
サプリメントの販売では、「ニューモⓇ
サプリメント」の売上高は2,912百万円となり、育毛剤との同時購入に
より、顧客単価の向上に寄与しております。また、膝関節サプリメント「タマゴサミンⓇ
」の売上高は、2,321百
万円となり、利益に寄与しております。
化粧品の販売では、「ヘアボーテⓇ
エクラ ボタニカルエアカラーフォーム」の販売に注力いたしました。当
第3四半期連結会計期間では、CPO※2を重視した新規顧客獲得を行い、2021年4月末時点の定期顧客件数は、
104,783件(2021年1月末時点では132,529件)となりました。
以上の結果、通信販売事業の当第3四半期連結累計期間の売上高は、31,469百万円(前年同期比247.9%増)
と、前年同期比で大幅な増収となりました。広告宣伝費19,365百万円(前年同期比217.8%増)を計上しました
が、同時に利益回収が大きく進捗した結果、セグメント利益は2,562百万円(前年同期は416百万円のセグメント
損失)となりました。
ファーマフーズの株価推移
ファーマフーズ(2929)の2021年6月4日時点でのチャートは以下の通り。
【日足チャート】
【週足チャート】
2020年に大きく上昇したファーマフーズの株価ですが、このところ停滞しています。
一時4,000円に迫っていた株価ですが、現在は3,000円を下回る株価となっています。
【6月4日時点の指標】
- PER:56.04
- PSR:5.64
- PEGレシオ:0.52(PER56.04÷利益成長率107.6)
※PSR(株価売上高倍率) ※PEGレシオ(PERを、一株当たりの利益成長率で割った指標)
ファーマフーズのPERは50倍を超えていますが、利益成長率が高く、PEGレシオでみると1倍を割っています。
ファーマフーズは広告宣伝費などにも積極投資をしながらも大きく業績を伸ばしており、まだまだ成長の余地はあるのではないでしょうか。
ファーマフーズは、現在JPモルガンやクレディスイスなどの機関投資家の空売りなども入っており、すんなり株価上昇とはいかないかもしれませんが、高い成長率を考えるとまだまだ株価は割安だと言えるのではないでしょうか。
週明けすぐに上昇とはいかなくても、機関の空売りが減少してくれば株価も大きく上昇していくのではないでしょうか。
決算発表での決算短信には今後の株価上昇のヒントが詰まっています。
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